KOBE MEISTER

製麺藤田 正一

昭和11年生 平成22年没

勤務先:藤正製麺

多種類の製麺を手掛ける一方、手打ち麺の食感を機械で実現。平成4年全国製麺技能グランプリ3位。

”麺類を代用食からぜいたく品へ”

 「この仕事に就いたのは、子供の頃からの環境です。」神戸に40軒ほど製麺業者があり、その1割が親戚だったという。高校を出て家業に飛び込んだが、うどんそばの製麺に飽きたらず中華麺専門の他店に住み込んで武者修行。「これからの時代は幅広い製麺テクニックを身に付ける必要があると考えたからです。」
 昭和30年代後半に家業を継いだ時、日本そばやうどんに中華麺やギョウザ、ワンタンの皮を加えて、工夫をこらした仕事で世に打って出ることになった。そのころはちょうど全自動化が浸透し始めた時代で、手動の機械でそれに負けぬようきれいに仕上げることに神経を使った。それが今では、機械を使いながらわざと不揃いにして手作りの趣きを加えることに苦心するというから皮肉なもの。そんな中で、終始変わらぬものは「おいしいと思われる商品を作ること。」例えば、うどん嫌いな人が作るうどんはおいしいという。嫌いなものをどのように好きになるかに工夫がなされて、結果的においしくなるという理屈。「ひとりよがりはダメで、やはり多くの人がおしなべて、これはと認めてくれる作品に仕上げるのがプロ。」
 機械を使いこなして手打ち麺の食感を実現、食味に加えて風味も申し分なしの製品を生み出している。この確かな技術に加えアイデアも豊富。楽しく食べてもらうために、梅うどん、モロヘイヤそば、茶麺など多種類の麺を手がけ、変化に富んだ味で消費者に新鮮な驚きをもたらせている。「うどんやそばは昔、代用食のように扱われてきた歴史がありましたが、私は麺類を代用食から主食へ、そしてぜいたく品へ格上げしたいのです。」

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