KOBE MEISTER

バーテンダー岡野 公一

昭和8年生 平成16年没

勤務先:カクテルバー馬車屋

幅広い知識でオリジナルカクテルを考案。人生のドラマが生まれる舞台の演出を…

”グラスの中に人柄を注ぐ一味の手品師”

 一個のカクテルグラスの中に岡野さんの世界が広がる。同じレシピでシェーキングしても作り手によって味が全く異なる。だからこそ「勉強をし、マナーも高めねば…」と力説する。「ショートカクテルにしろロングドリンクにしろ、バーテンダーの人格がにじみ出ますね。」とさえ。酒を愛し、酒を飲むことでコミュニケーションを深めるのは人間ならでは。「そこから素敵なドラマが生まれる舞台のプロデューサーであることを再認識しなければ…」。
 東京出身。関東では名の通った「馬車屋」で修行中に神戸の「ムーンライト」の女性オーナーにスカウトされて昭和32年に来神した。伸び盛りの23歳の時だった。「西洋文明発祥の地だけに、カクテルが最もよく似合う街でしたね。」幅広い知識を蓄え、実際にシェーカーを振る。お客の洋服の色に合わせてカクテルの種類を選んだり、自らのセンスでオリジナルカクテルを作り出したり。切磋琢磨し、めきめきと腕を上げた。
 神戸は清酒どころでもあることから、日本酒を使った岡野さんオリジナル「東洋の花娘」で、コンクールで優勝した実績も…。氷と果物を自在に操ってみごとに適量のカクテルを目の前でグラスに注ぐさまはまるで、〝味の手品師―″。
 平成元年から、懐かしい修行先の名をそっくりいただいて「馬車屋」を自分の店に。業界の盛衰を身をもって体験し、接客サービス業の何たるかを若い後進たちに語り、業界のレベルアップに一役も二役も買っている。
 「バーテンダーはお客の思い出の中に脇役として生きる」。―岡野さんの名言だ。

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